アネモネの鉢植えを梅雨前に蒸らして根腐れさせた話|5月の長雨と水やりの勘違い体験
2026-02-15
「まだ乾いていないかな」と思いながらも、水差しを傾けてしまったあの瞬間を思い出す。結果ははっきりしている。梅雨前の湿気で、アネモネを蒸らしてしまった。あの重たい空気の匂いが、今でもよみがえる。
2022年5月下旬、九州北部。連日の曇天と小雨で、ベランダは常に湿っぽかった。気温は25度前後。春に咲いたアネモネの葉がまだ青々としていて、つい「もう少し楽しめるかも」と思っていた。土の表面は乾いて見えたが、指を入れると中は冷たく湿っていた。それでもいつもの癖で水を与えた。
数日後、葉がしんなりと垂れた。触るとぬるりとした感触。土からはこもった匂いが立ちのぼる。「嘘でしょ」と声が漏れた。風も弱く、鉢の底はいつまでも乾かない。焦って受け皿の水を捨て、風通しの良い場所へ移動したが、回復は遅かった。
枯れた葉を取り除き、思い切って掘り上げると、根の一部が黒くなっていた。完全な根腐れではなかったが、ダメージは大きい。乾かし気味に管理し直し、やがて地上部は自然に枯れて休眠に入った。翌シーズン、芽が出たときはほっとしたが、花数は明らかに減っていた。
あのときの私は、「咲いている=まだ水が必要」と短絡的に考えていた。季節の変わり目、湿度の高さを軽く見ていた。土の中の状況を想像できていなかったのだ。表面だけ見て判断する怖さを、身をもって知った。
いまは梅雨前になると、空気の重さや土の匂いに敏感になる。あの蒸れた感触は忘れない。植物は静かにサインを出していたのに、気づけなかったのは私だった。あの5月の空は、やけに低く感じたのを覚えている。
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