チューリップが咲かない年だった話|オランダ不作の噂を聞いて不安になった球根栽培の失敗体験
2026-01-29
その年の春、関東の庭でチューリップを育てていた。11月中旬に球根を植え、冬は比較的暖かく、雪もほとんど降らなかった。2月までは順調に芽が揃っていたのに、3月に入っても蕾が上がらず、葉だけが細く伸びる状態が続いた。朝の空気は冷たいのに、昼は妙に生暖かく、土を触ると中がぬるっとして湿り気が強かった。例年ならこの時期に色が見え始めるはずなのに、庭は妙に静かだった。
この頃、ネットで「オランダは不作だったらしい」という話を目にして、変に納得してしまった。ああ、今年はそういう年なんだ、と自分に言い聞かせていた。咲かない理由を外に求めて、球根を掘り返す勇気もなかった。ただ眺めて、ため息をついて終わる日が増えた。
正直かなり不安だった。球根が腐っているんじゃないか、寒さに当てる期間が足りなかったんじゃないか、去年と同じことをしたはずなのに、どうしてこうなるのか分からなかった。鼻先に土の湿った匂いが残り、朝露で靴が濡れるたびに、失敗を踏んでいる気分になった。
今思うと、気温が安定しない年で、水分管理に迷い続けたのが大きかった気がする。でも当時は「乾かすのが怖い」「今触るとダメになるかも」と判断が揺れ続けていた。結局、何も決めきれなかった。
後から振り返れば、芽の勢いを見て土の状態を一度確認すべきだったと思う。掘る、触る、確かめるという当たり前の行動を、怖さで避けてしまった。結果、咲かないまま春が終わった。それだけだった。
チューリップの記事をまとめて見る
タグ