フェイジョア『アントワネット』を完熟だと思って食べたら湿布みたいな臭いが強すぎて後悔した話
10月下旬、東京の自宅庭で育てていたフェイジョアのアントワネットが、見た目にも柔らかくなり始めた。指で軽く押すと少し沈み、落果も始まっていたので「これは食べ頃だ」と判断した。朝の冷たい空気の中で拾い上げると、果皮からほんのり甘い香りがして期待が高まった。包丁で半分に切るとゼリー部分がとろっとしていて、見た目だけは完璧だった。ところが口に入れた瞬間、甘みより先に鼻に突き抜ける強烈なサロンパスのような匂いが広がった。室内に戻ってもその匂いが指に残り、しばらく気になって仕方がなかった。
正直なところ、「今年の出来が悪かったんだろう」と自分に言い聞かせるしかなかった。甘みは確かにあるのに、匂いが強すぎて素直に美味しいとは言えなかった。早い時期に食べた同じ木の実は美味しかった記憶があり、その落差に戸惑った。フェイジョアは個体差や時期でここまで違うのかと、半ば呆然としながら残りの実をどうするか悩んでいた。
食べ進めるほどに、楽しみにしていた気持ちがしぼんでいくのが自分でも分かった。せっかく数年育てて、ようやくまともに実が付いたのに、この匂いのせいで家族にも勧めづらい。キッチンに広がる独特の匂いを嗅ぎながら、「なんで今切ったんだろう」「もう少し待つべきだったのか」と後悔ばかり浮かんだ。期待していただけに落胆も大きく、フェイジョア熱が一気に冷めた瞬間だった。
振り返ると、落果=完熟だと思い込んでいたのが大きかった。当時は品種ごとのクセや、気温が下がった後の香りの変化まで考えが及ばなかった。掲示板では同じように「時期が遅いと匂いが強い」と書かれているのを後から知り、あの時は視野が狭かったと感じた。甘みだけで判断して、香りの変化を軽く見ていたのも原因だったと思う。
今なら、すぐ切らずに数日置いて香りを確認するか、最初は一口だけ試す選択もできたはずだ。完熟のサインを一つに決めつけず、匂い・触感・時期を総合して様子を見るべきだったと感じている。あの湿布臭の衝撃は強烈だったが、次に同じ失敗をしないための記憶として残っている。
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