猛暑40度で五葉松が枯れかけたのに黒松だけ元気だった真夏の失敗体験
東京のベランダで盆栽を始めて3年目の夏だった。8月上旬、気温は連日38度前後、アスファルトの照り返しで体感は40度近かった。黒松と五葉松を並べて育てていたが、黒松は葉色も濃く、特に変化は見られなかった。一方で、五葉松は朝見るたびに葉先が黄色くなり、次第に赤茶色へと変わっていった。鉢の表面に手をかざすと、じんわり熱気が伝わってくる。自動散水機で昼も水を与えていたが、夕方にはすでに土が乾いていて、葉がチリチリと縮れていた。ある日、枝を触った瞬間、ポロっと葉が落ちてきて、これはもう危ないと直感した。慌てて日陰へ移動したが、数本の枝はそのまま枯れてしまった。
本当にショックだった。黒松はあんなに元気なのに、同じ棚に置いていただけで五葉松がこんな状態になるなんて思いもしなかった。水は足りているはずだと信じていたし、プロでも枯らす時代だから仕方ない、と自分に言い聞かせたけど、内心はかなり落ち込んでいた。あの弱っていく姿を見ているのがつらくて、「自分にはまだ早かったのかも」と感じた。枝の先がパリパリに乾いた感触で、触れるたびに胸がざわついた。
今になって思えば、五葉松は黒松より暑さに弱いという基本的なことを軽く考えていた。日当たりの良さを優先して同じ環境に置いていたのが失敗だった。夏場の風通しや遮光、鉢の温度管理を、もっと意識するべきだった。SNSで見るような元気な五葉松ばかりを参考にして、現実の猛暑の影響を想像できていなかった。特に都市部のベランダは、地面の熱がこもりやすい。植物によって耐性が違うことを、あの時は実感できていなかった。
それ以来、夏は樹種ごとに置き場所を分けている。五葉松や赤松は、直射日光を避けて半日陰で管理するようにした。鉢の周りには断熱材を敷き、風が抜けるよう工夫している。黒松と同じ感覚で扱わないようになってからは、葉の痛みも減った。暑さのピークを越えた後の、新芽の柔らかさを見ると、何とか持ち直してくれたんだとほっとする。
あの夏の経験で、盆栽は「強い木だから安心」ではなく、樹種の個性を理解して付き合うものだと痛感した。黒松がピンピンしているからといって、五葉松も同じとは限らない。自分の環境に合わせて調整する大切さを、身をもって学んだ出来事だった。
五葉松の記事をまとめて見る