盆栽30鉢を管理しきれず水切れで黒松と五葉松を弱らせた夏の失敗談
栃木の平野部で、7月下旬から連日35度を超える暑さが続いていた頃だった。黒松と五葉松を中心に、気づけば大小合わせて30鉢以上を棚に並べていた。朝は一鉢ずつ状態を見ながら水やりをしていたが、仕事の都合で昼間は家を空けることが多く、タイマー式の自動散水とスプリンクラーを併用して何とかしのいでいた。ところがある日、夕方帰宅して鉢を触ると、表面の土がカラカラで軽くなっている鉢がいくつもあった。特に日当たりの良い上段に置いていた五葉松は、葉先が茶色くなり始めていた。黒松はまだ張りがあったが、幹に触れるとどこか乾いた感触で、根が持たないのではと焦った。慌てて全鉢にたっぷり水を与えたが、すでに遅かったようで、数日後には五葉松のいくつかがぐったりと弱ってしまった。
その瞬間は、本当に頭が真っ白になった。自分では毎日見ているつもりだったし、これだけ手間をかけていれば枯れることはないと思い込んでいた。けれど、鉢数が増えすぎて、一つ一つの乾き具合や樹勢の変化まで把握できていなかった。棚にぎっしり並んだ鉢を前に、ただ「かわいそうなことをした」と後悔するばかりだった。特に五葉松は、芽も葉も繊細で、暑さにも弱い。それなのに黒松と同じ感覚で水管理していたのが完全なミスだった。見た目はまだ元気そうでも、内部ではどんどん水分が失われていたんだと思うと、胸が苦しくなった。あの時、もっと鉢を減らしておけば…と、悔やんでも悔やみきれなかった。
今振り返ると、失敗の原因ははっきりしている。管理できる数を超えていたことだ。黒松は多少の乾燥でも耐えてくれるが、五葉松や赤松はそうはいかない。土の乾き方も、置き場所や鉢のサイズでまるで違う。朝だけ見て安心して、昼の猛暑の影響を想像できていなかったのが痛い。インスタで見るような棚いっぱいの小鉢に憧れて、自分も増やしてしまったが、現実はそんなに甘くなかった。スペースも時間も限られているのに、欲張りすぎていたんだと思う。
それからは、思い切って鉢数を見直した。どうしても手が回らない鉢は、交換会やフリマ、ジモティーなどで少しずつ手放していった。手入れが行き届く数に抑えることで、毎朝のチェックも丁寧にできるようになった。土の乾き方や葉色のわずかな変化にも気づけるようになり、同じ過ちは繰り返していない。盆栽は増やす楽しさもあるけれど、それ以上に守る責任の方が重いと、身に染みてわかった。
結局のところ、盆栽の心得は「増えたら手放す」だと感じている。自分が見きれない量を持つと、どんなに立派な樹種でも簡単に弱らせてしまう。あの夏の乾いた鉢の軽さ、葉のしおれた感触は、今でも忘れられない。大事なのは数じゃなくて、毎日ちゃんと向き合えるかどうかだった。
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