黒松の種子をネットで購入したのに発芽ゼロだった今年の実生失敗談
福岡北九州で黒松の実生に挑戦したのは、今年の春だった。前年に拾った松ぼっくりからはたくさんの種が取れたので、今年も同じように育てられるだろうと思い、ネットショップで黒松の種子を購入した。3月下旬、赤玉土と鹿沼土を混ぜた播種用土にまき、水苔を薄くかけて管理を始めた。気温は日中20度前後で、条件は悪くなかったはずだ。それなのに、2週間経っても芽が出ない。1か月経っても、土の表面は静かなまま。指でほじると、中から出てきた種は、プチッと潰れて中身が空っぽだった。水没選別もしていなかったが、それ以前に、シイナばかりで発芽する力を持った種がほとんどなかったようだった。
正直、かなり落ち込んだ。去年はあんなに簡単に芽が出たのに、今年は全滅。種まきは楽しい作業だったのに、結果がこれだと、やる気も一気に失われた。ネットで購入した自分が悪かったのか、それとも今年は当たり年じゃなかったのか、考えがぐるぐるした。芽が出ないプランターを見つめながら、「自分のやり方が間違っていたのかも」と不安になった。湿った土の匂いを嗅ぐたびに、虚しさばかりが残った。
後から知ったが、今年は黒松の種子の実りが極端に少なかったらしい。暑さで花粉が死滅した可能性がある、という話も出ていた。つまり、購入した種そのものが発芽能力を持っていなかったのだ。毎年、やり方の問題だと思っていたけれど、実際は種子自体の当たり外れが大きかった。特に実生は、良い年と悪い年の差が激しいことを、初めて実感した。
それからは、フリマやショップで種を買うときは、水没選別済みかどうか、きちんと確認するようになった。見た目が青々としていても、中身が空なら意味がない。数を欲張らず、確実に発芽するものを選ぶ方が大事だった。実生は気長に続けるものだと、やっと理解できた。
今年は結局、苗は1本も育たなかった。でも、この経験で、盆栽づくりは自然相手だということを思い知らされた。毎年同じようにはいかないし、うまくいかない年もある。あの無発芽の春の静けさは、今でもはっきり覚えている。
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