清水白桃を初めて袋掛けしたら梅雨明けに全部腐り落ちた話。袋掛け=安全だと勘違いしていた三年目の失敗
清水白桃を地植えして三年目の初夏、今年は今までにないほど実がついた。春先から順調で、摘果もして、指で触るとまだ硬い小さな実が枝にずらっと並んでいた。六月上旬、天気予報は連日の雨。梅雨入り直前で焦りながら袋掛けを終えた。白い果実袋を一つ一つ掛けていく作業は、湿った空気と土の匂いが重く、手袋の中も蒸れて気持ち悪かった。袋を掛ければ鳥も虫も雨も防げる、そう信じていた。
袋掛けが終わったあとは、正直ホッとした。これで一安心だと思っていた。独り言みたいに「これで大丈夫だ」と何度も心の中で繰り返していた。農薬散布の回数も減らせるんじゃないか、そんな甘い考えもあった。袋の中は見えないけど、きっと順調に育っているはずだと、自分に言い聞かせていた。
梅雨が明けて、強い日差しが戻った頃、袋を触った瞬間に嫌な感触がした。中が柔らかい。袋を外すと、実は茶色く腐り、指で持つと崩れるように落ちた。一本、また一本と確認するたびに同じ状態で、最終的にすべて落果した。甘いはずの香りはなく、湿った腐敗臭だけが残った。胸の奥がズンと重くなって、しばらく立ち尽くした。
振り返ると、袋掛けをすれば病気も防げると勘違いしていたのが大きかった。梅雨時の高湿度、すでに付着していた病原菌、雨の合間で十分に乾かない状態。その全部を無視して、袋という密閉に近い環境を作ってしまった。当時は「袋がけが下手だったのか」「雨が悪かったのか」と原因を自分の手際だけに求めていた。
今思えば、袋掛けは万能ではなく、前段階の状態が重要だった。実が濡れていないか、病気の兆候はなかったか、タイミングは遅くなかったか。袋を掛ける前に立ち止まって確認すべきだった。袋は守りではなく、条件が悪いと失敗を加速させることもある。あの年の清水白桃は、それを身をもって教えてくれた。
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