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ローズマリーがこぼれ種で石垣の隙間に繁って越境…撤去&鉢上げ失敗で後悔した話

2026-02-08

最初は嬉しかった。「ローズマリーってこぼれ種で生えるんだ」と知ったとき、なんだか得した気分だった。お隣さんとの境界の石垣、その隙間から小さな芽が出ていて、触ると指にあの香りが付く。葉を揉むと、鼻の奥がすっとする。私はそれだけで気持ちが上がって、「立派に育ったらかっこいいな」と軽く考えた。

季節が進むと、芽はちゃんと繁った。石垣の隙間って乾きやすいと思っていたのに、根はしぶとく入り込んで、枝も増えた。風が吹くと葉が擦れて、香りがふわっと漂う。朝、外に出るとその匂いがして、私はちょっと誇らしかった。だけど同時に、境界っていう場所がじわじわ気になり始めた。枝の向きが、少しずつお隣側に傾いていく。

「越境しちゃった…」と気づいた瞬間、胸が冷えた。悪意がないのに迷惑になるのが一番つらい。私は慌てて剪定しようとして、手を入れた。切ると香りが強く出て、その香りが逆に罪悪感みたいに感じた。「いい匂いなのに、なんでこんな気分なんだろう」。切っても切っても、根っこがそこにある限り落ち着かない。

撤去せざるをえなかった。もったいない気持ちが強くて、「鉢上げできるかな」と欲が出た。けど、根っこを弄るとすぐ枯れるって話を思い出して、手が止まる。止まるのに、結局やる。石垣の隙間に指を入れて土を掻き出すと、湿った匂いと、石の冷たさが手に残る。根は想像よりしっかりしていて、引っ張るほどに千切れそうで怖かった。

結果、鉢上げはうまくいかなかった。というか、私は途中から「これ以上いじったらダメになる」と感じていたのに、やめられなかった。撤去したあとの空っぽの隙間を見たとき、風が通る音だけが残って、香りが消えたのが妙に寂しかった。「私、何してたんだろう」と独り言が出た。立派に繁った分、喪失感が大きかった。

失敗が起きやすかった理由は、境界の石垣という場所を“都合のいい自然スペース”みたいに見ていたことだと思う。最初の芽の可愛さに引っ張られて、将来の越境を具体的に想像しなかった。さらに、ローズマリーの“丈夫さ”のイメージが強くて、移植も簡単だろうと勝手に思ってしまった。当時の私は、香りの良さに酔っていたんだと思う。

後から振り返って見直すべきだったのは、「境界に生えた時点で判断する」ことだった。小さいうちなら抜くか残すか決めやすいのに、立派になってからだと、情も手間も絡んで判断が鈍る。私は越境が問題だと分かっているのに、もったいなさで引き延ばして、最後に一番苦しい形で片付けた。あの香りが好きだからこそ、境界で育てたのは、私には向いていなかったんだろうな。



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