古いネギ種は蒔けば出ると思っていた|常温保存で全滅した体験談
2026-02-09
「多少古くても、たくさん蒔けばいくつかは出るだろう」。そう思っていた時期があった。結果から言えば、一本も出なかった。その事実だけが、静かに突き刺さった。
その年、倉庫の奥から出てきた長ネギの種袋。購入年を見ると数年前。室内の棚で常温保存されていた。春先、畑の土はまだ冷たく、指先が少し痺れる感覚があったが、「ネギは強い」という謎の自信で一気に蒔いた。水をやり、毎日様子を見た。
一週間、二週間経っても何も出ない。土の表面は乾いたり湿ったりを繰り返し、静まり返っていた。「まだか」「寒いからか」と自分に言い聞かせていたが、内心は焦っていた。結局、発芽ゼロ。「やっぱりダメだったか…」という脱力感だけが残った。
その後、冷蔵保存していた別の年の種を試したら、数日で芽が出た。その差を見たとき、「保存状態ってここまで違うのか」と思い知らされた。水に浸けて試すという発想も、当時はなかった。
失敗の原因は明確だったが、当時は気づけなかった。「種は眠っているだけ」という思い込みが強く、寿命を軽く見ていた。古代の蓮の話を勝手に重ねて、現実から目をそらしていたのかもしれない。
今振り返ると、最初に少量で発芽テストをするべきだった。それだけで、畑の一角を無駄にすることもなかった。あの静かな土の表面は、今でもよく覚えている。
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