柚子が大量に実って処理しきれない…4mの柚子の木を育てて後悔した冬の話
庭に植えていた柚子の木が、ここ数年で一気に大きくなった。気づけば高さは4m近くまで伸び、秋の終わりには200個以上の実がぶら下がっていた。収穫したのは12月上旬、天気は曇りがちで、朝露で実が冷たく手に張りつくようだった。最初は嬉しかったが、コンテナに山積みになった柚子を前にして、だんだん現実味がなくなっていった。とりあえず50個ほどをジャムにしたが、皮も果汁もとにかく酸っぱく、砂糖を大量に使っても思った味にならなかった。煮詰めているうちに部屋に広がるはずの香りも、気づけば弱くなっていた。
正直、かなり気持ちが萎えた。せっかく育てたのに、使い道が思いつかず、加工は面倒で、失敗作の瓶だけが増えていく。皮を刻む作業も手が荒れて痛くなり、途中で投げ出したくなった。収穫しなければ鳥や虫にやられるし、放置するのも気になる。最終的には使い切れない分を袋に入れて捨てた。その瞬間、妙な虚しさが残った。あんなに実っていたのに、喜びよりも疲労の方が大きかった。
今思えば、木を大きくしすぎたことが一番の原因だった。柚子は実がなりやすく、放っておくと想像以上に収量が増える。少量ならありがたい香りも、量が増えると処理の負担になる。当時は「実が多い=成功」だと思い込んでいて、その後の使い道や管理まで考えられていなかった。皮に香りが集中していることも、後から知った。果汁だけ使っても物足りないのは当然だった。
振り返ると、樹高を抑える剪定や、収穫量を想定した管理をすべきだったと思う。鉢植えや低樹高で育てていれば、使い切れる量で楽しめたはずだ。実を全部活かそうと無理をするより、最初から少量を大切に使う前提で育てる考え方も必要だった。育てる楽しさと、その後の生活のバランスを見誤っていた。
柚子が悪いわけじゃない。育て方と向き合い方を間違えただけだ。あの冬、酸っぱい匂いの残るキッチンで、そう思った。次に植えるなら、きっともっと小さく育てるだろう。
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