バジルが茂りすぎて黒い斑点…ハダニ疑いで丸坊主にした秋口の失敗談
「バジルって強いはずなのに…」と、葉の表面に黒い斑点を見つけた瞬間、喉がきゅっと縮んだ。収穫が楽しくて、香りも最高で、手に触れると指先に青い匂いが残る。だからこそ、いつもの“いい匂い”のはずの鉢が、急に不安の匂いに変わった。私は、葉を透かして見たり裏返したりして、疑いの目で見始めた。
茂りすぎていたのは確かだった。葉が重なって、鉢の中心に風が通らない。朝、濡れた葉の間から土の湿った匂いが立ち上がって、触ると葉が少しぬるい。日中は暑いのに夜は急に冷える日もあって、ベランダの空気が落ち着かない。そんなタイミングで、点々とした黒さが増えていくのを見て、「病気? ハダニ? それとも水?」と頭がぐるぐるした。
正直、見たくなかった。けど見ないと進む気がして、毎日覗き込んでは「お願い、広がらないで」と呟いた。バジルの葉って、元気なときは張りがあるのに、不安になって触ると余計にしおれて見える。私は自分の手が原因なんじゃないかとさえ思って、触るのが怖いのに、結局触ってしまう。そんな繰り返しだった。
結局、私は泣く泣く丸坊主にした。ハサミを入れると、切り口から青い香りが一気に立って、「いい匂いなのに、なんでこんな気持ちなんだろう」と思った。葉を落とすたびに、手元の山が増える。収穫の山なら嬉しいのに、処分の山は胸が重い。丸坊主になった株を見た瞬間、風が急に冷たく感じて、心もスカスカになった。
その後、しばらくは鉢を見るたびに「もう終わったかも」と思った。けど、数日たつと芽の気配が見えてきて、私は少しだけ救われた気がした。ただ、あの時の判断が正しかったのかは今でも自信がない。怖さに押されて“極端な手”を選んだ感覚が残っている。
失敗が起きやすかった理由は、茂らせること自体が成功だと思い込みすぎたことだ。葉が増えるほど嬉しくて、混み合いを「勢い」と勘違いした。葉の重なりや湿気のこもり方を見ていながら、「まだ大丈夫」と先延ばしにしてしまった。当時の私は、バジルを“収穫するもの”としてしか見ていなかったんだと思う。
後から振り返ると、私が見直すべきだったのは「不安で手を入れる」癖だ。斑点を見た瞬間に敵を決めつけて、ハダニだと決めたくなったし、決めたら動けるから余計にそうした。けど本当は、混み合い・湿度・自分の焦りが絡んで、判断を乱していた。あの丸坊主は、バジルのためでもあるけど、私の不安を切り落とすためでもあった。そう思うと、ちょっと恥ずかしい。
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