キンカンにマシン油を撒くか迷い続けた冬|収穫前散布への不安と判断の揺れ
2026-01-21
初めてキンカンを育てた年の冬、十二月に入った頃だった。葉は青々として実もまだ枝にしっかり付いている。そんな中、害虫対策としてよく聞くマシン油散布の時期が気になり始めた。ちょうどチュウゴクアミガサハゴロモの話題も耳に入ってきて、今やるべきなのか、それとも収穫後まで待つべきなのか、毎日考えていた。寒い朝、手袋越しに枝を触りながら、決断できない自分がいた。
正直、不安しかなかった。マシン油を撒いて実がダメになったらどうしよう、皮を食べるキンカンなのに大丈夫なのか。ネットには『実にかかっても平気』『花にかかると良くない』など、断片的な情報ばかりで、どれを信じればいいのかわからない。初めての栽培だから余計に神経質になって、噴霧器を手に取っては置き、また手に取る、そんなことを何度も繰り返していた。
なぜこんなに迷ったのかと言えば、自分の中に確かな基準がなかったからだ。マシン油は年1回が基本、冬に撒くもの、という知識はあったが、目の前のキンカンはまだ収穫前だった。そのズレをどう埋めればいいのか分からなかった。『今やらないと来年被害が出るかもしれない』という焦りと、『今やったら台無しになるかもしれない』という恐怖が、同時にあった。
結局、その年は収穫後に散布することにした。安全側に倒した形だが、冬の間ずっと「これで良かったのか」という気持ちは残った。結果的に大きな被害は出なかったものの、春になって新芽を見るまでは落ち着かなかった。今なら、もっと早い段階で目的を整理し、実を優先する年なのか、防除を優先する年なのか、考えられた気がする。
あの冬の迷いは、園芸の難しさそのものだった。正解が一つじゃないからこそ、決めるのはいつも自分だ。噴霧器を持ったまま立ち尽くした寒い朝の感覚は、今でも手に残っている。
キンカンの記事をまとめて見る
タグ